何年間の別居期間があれば、離婚がすんなり成立するのでしょうか?




監護権を得て二人の子供を育てている母です。夫とは離婚調停が不成立に終わり、離婚は未だ成立していません。

その間、接触は一切なく、養育費等も一切受け取っておりません。

(1)何年間の別居期間があれば、離婚がすんなり成立するのでしょうか。

(2)私の身に万が一のことがあった場合、私や子供の名義の預貯金を解約する折、夫の印鑑が必要になるのでしょうか。また私名義で家を新 築したような場合も、別居中の夫にも財産の権利は発生してしまうのでしょうか。

以上の点、よろしくお願いします。

(質問no.27 お名前:ハラさん 愛知県)




幾つかの前提条件により左右されます。

ハラさん、はじめまして。サイト管理人の北条たかとです。

監護権を得て二人の子供を育てている母です。

離婚は未だ成立していません。

離婚が成立していない段階では、基本的には親権は父母両方に帰属しますが、実務的には、子供がどちらか一方で生活をしなければいけないという観点から、当事者間の話し合いで監護権を取り決める事ができます。

養育費等も一切受け取っておりません。

そして、その監護権を取り決めた際、ハラさんが不貞行為をしたと言った事情で離婚の話になり、別居に至っていると言う状況で無いなら、通常、離婚が成立するまでの別居期間中の一般的な生活費の一部を「婚姻費用の分担」という形にて請求する事は出来ます。

勿論、そうした事は承知の上であえて請求していないと言うのであれば、それはそれで構いませんが、後述する問題が出てきます。

何年間の別居期間があれば、離婚がすんなり成立するのでしょうか。

実は別居期間に関しては、何年で離婚という決まりはありません。法律では、「婚姻を継続しがたい重大な事由がある時」に離婚を請求できる(裁判所が離婚を認める事ができる)としており(いずれにせよ裁判の場です)、その「重大な事由」のいち形態として「別居期間が長期に渡り、婚姻生活が実質的に破綻している」と判断されるに過ぎないのです。

実際の裁判では、8年、14年、20年などなどかなり幅があり、これは残念ですが個々のケースによる個別的判断となります。

又、その際には「子供が充分に成長していて、養育の心配が無い事」も裁判所が離婚を認める条件になります。この点、生活費や養育費を一切受け取っていない事が、お子さんの養育の観点から離婚成立の障害になる可能性があります。

私の身に万が一のことがあった場合、

私や子供の名義の預貯金を解約する折、夫の印鑑が必要になるのでしょうか。

いわゆる「相続」が発生した場合を仮定してご説明します。

離婚が成立しない状態で相続が発生した場合、特段、遺言がなければ、法律の規定に基づいて法定相続人が法定相続分通りに遺産を相続する事になります。

相続財産の中でも特に預貯金等の流動性資産は簡単に処分出来る為、口座を所有する銀行は、相続を知った段階で遺産分割協議が成立するまで当該口座を凍結します。

ですから、その場合、旦那さんの印鑑だけではどうにもなりません。

私の身に万が一のことがあった場合、

私名義で家を新築したような場合も、別居中の夫にも財産の権利は発生してしまうのでしょうか。

これについては「相続」が発生した場合、家を新築後に離婚した場合と、2つ仮定してご説明します。

相続が発生した時点で今だ婚姻関係にあれば、相続財産として扱われ、権利は発生します。

新築後に離婚した場合の財産分与についてですが、その家を建築した際のお金が結婚期間中にためたものであれば、そのお金自体が共有財産であり、結果、その範囲内で家も共有財産と判断されます。(これは家に限らず、スポーツカーの様な嗜好性の高い車種以外の車にも当てはまります)

ですから、別居後にハラさんが単独で貯めたお金で無いなら原則的には財産分与の対象にはなり得るでしょう。この点、別居中に新築したと言う事情がある為、特有財産であるとして争う価値はあると思います。(逆を言えば争いになる可能性は高いと考えられます)