財産分与について、夫名義のマンションを売却した金銭は100%夫のものなのでしょうか?
結婚13年目別居2年のパート主婦です。財産分与についてアドバイスお願いします。
・約3700万の新築マンションを夫名義で6年前に購入。
・別居中は小学生の息子一人と私の2人が居住。
・購入時、私の実家から頭金の援助が600万、夫実家から550万
・現在払い込み済み約700万
・現在ローン残1800万。
・今なら約4500万で売却が見込めます。私の希望は
・離婚後もここに住むことを希望。
・成人後息子に権利を譲渡、もしくは、現在残債で私に譲渡を希望するがどちらも拒否。
・では、養育費代わりとして息子大卒までの約12年間居住希望。退去時には私の実家からの頭金600万は返済すること。夫の言い分は
・マンションの贈与はしない。自分の実家からも頭金を出している。残債で譲渡なんて虫のいい話だ、莫大な贈与税がかかる。
・購入時よりも高く売却できるならば売却したい、売却益は折半。
・住み続けたいならば、私の実家からの頭金は返済しない。家賃を支払え。(ローンを月平均すると約11万。フルタイムをみつけても払えません)夫側は法律の知識のある人や税理士、不動産に詳しい人が回りにいるので一方的かつ強引に話を進められていくので不安になりました。
そもそもマンションは夫のもの、との前提で話がすすんでいるのですが、マンション売却した際の財産分与は、ローン支払い済み約700万も100パーセント夫のものなのでしょうか?
本人は名義は自分で、自分だけの給料で払っているから当然自分だけのもの、との意識でいます。
長文になり失礼しました。アドバイスよろしくお願いします。
(質問no.314 お名前:tamiyaさん 東京都)
一方名義であっても固有使用でないマンションは共有財産です。
tamiyaさん、はじめまして。無料法律相談ネット・サイト管理人の北条たかとと申します。
本人は名義は自分で、自分だけの給料で払っているから当然自分だけのもの
結婚後に購入したものでどちらか一方の単独名義になっている場合でも、いわゆるファミリーカーや住宅など、夫婦が共同で使用していくものに関しては「実質的共有財産」とし、財産分与の対象になります。
マンション売却した際の財産分与は、ローン支払い済み約700万も100パーセント夫のものなのでしょうか?
いいえ、財産分与の対象となる以上、夫婦間で分ける事になります。分配の割合は明確に法律で決まっている訳ではなく、その財産を形成する際の寄与の程度によって個別的に判断する事になります。
自分だけの給料で払っているから当然自分だけのもの
例えば、寄与分を判断する1つの基準として、どちらがどの程度の収入があったかという金銭基準があります。その観点から言えば、妻が専業主婦やパート勤め程度の収入しかない場合は、どうしても寄与分の割合は低くなります。
尚、実際に寄与分の割合が低い場合でも、妻が家庭で家計をやりくりし収支関係を支えた類の主張で間接的に財産形成に寄与したと寄与分の割合を主張していく事で財産分与の割合を上げていく事はできます。
専業主婦(主婦業がメインの場合も含む)の行う日常家事も「家事労働」として評価の対象となるからです。
とは言え、過去の裁判所の判断では30%前後の割合が平均ですが、財産を取得するに際し、妻もお金を出し、その後のローン返済の為に家計をやりくりし貯蓄に努める等の努力が認められる場合には、40%を超えた割合が認められたケースもあります。
私の希望は
夫の言い分は
具体的な分配割合は、既述の通り当事者の事情に即し話し合いで個々に決める事になりますが、ベースとなる処理方法は
1.売却して、売却益を割合に応じて分ける
2.どちらかが取得し、離婚時までに支払済みのローン額を割合に応じて相手に支払う
となります。
2.の場合は、残りのローンは原則的には取得した側が払う事になりますが、仮に妻側が取得した場合はローンが支払えない場合も多いので、実務的には当事者間の合意の下で夫が残りを支払っていく内容の財産分与も多く行われています。
成人後息子に権利を譲渡、もしくは、現在残債で私に譲渡を希望するがどちらも拒否
退去時には私の実家からの頭金600万は返済すること。
これらの主張は財産分与の基本的な枠組みから外れる主張ですので、相手が任意で認めない限りは裁判になっても認められる可能性は低いと言わざるを得ません。
頭金に関しても双方がほぼ同額をそれぞれ出している状況で、一方だけ返金を要求する根拠がありません。
売却益は折半。
頂いたメール文面を見る限りでは、tamiyaさんの寄与の割合は高くありませんので、折半という相手方の提示はtamiyaさんにとっては良い条件ではあります。
譲渡、もしくは、現在残債で私に譲渡を希望するがどちらも拒否
マンションの贈与はしない
マンションの権利に関して平行線の場合は、幾ら話し合っても平行線のままのケースが多いですので、売却して売却益を分けるスタンスで検討された方が合意に至りやすいのではと思われます。
一方的かつ強引に話を進められていくので不安になりました。
どのような主張されても、又はしても、それに対して他方の当事者が同意しなければ効力はありませんので、必要以上に心配される事はありませんが、相手方に専門家がついているのであれば、tamiyaさん側も弁護士さんに依頼されておく事をお勧め致します。
離婚の場合、当事者の話し合いで合意に至らなかった場合は、調停になり、それでも合意に至らない場合は訴訟となります。今回、マンションの処遇を巡って争いになる可能性がありますので、今の段階から専門家を確保しておいて損はありません。