台風で家の木が倒れ、隣の車を破損しました。この場合、私が全ての責任を負わねばならないのでしょうか?




台風により家の木が倒れ、隣の車を破損しました。そのときの損害賠償の問題です。

木は特に腐っていたわけではなく、管理上の問題は全く有りませんでした。しかし、今回の台風の強風で、不幸にも倒れてしまい、隣の駐車場の車に被害を与えてしまいました。

このような状況で、以下のことを知りたいのです。

(1)天災にもかかわらず、このような事故の責任は、木が立っていた敷地の地主が全ての責任を負わねばならないのでしょうか?公的な費用負担支援などは無いのでしょうか?

(2)車の所有者が入らねばならない保険から、費用の一部でも保険金としておりることは無いのでしょうか?(車の所有者が、このような天災に起因する損害への補償を受けるには、車の所有者が、特別な保険に入っていなければならないのでしょうか?)

(3)そもそも、その木は昔から立っており、それに隣接して駐車場を設置した隣の方、そこの駐車場を管理していた管理会社さんは全く責任なし、費用負担なし、ということでしょうか?

自動車の運転も保有も経験の無い者で、また法律にも疎く、皆様のお知恵をお借りしたく、よろしくお願いします。

(質問no.184 お名前:太田さん 東京都)




無過失で責任を負うのが原則ですが、個別的事情を考慮します。

太田さん、はじめまして。サイト管理人の北条たかとと申します。

木は特に腐っていたわけではなく、管理上の問題は全く有りませんでした。

建物や、敷地内の木(建物に準じると規定されています)は土地工作物と言われ、これらの瑕疵により損害を与えた場合は、その瑕疵について所有者に過失が無くても責任を負うのが原則です。

「管理上の問題は全く有りませんでした」との事ですが、例えば、過去の台風等で地面の土が削れたり、流出する等して、根が浮いたりして倒れる可能性があったとして、その事に太田さんが無過失で気づきようがなかったとしても土地工作物に瑕疵があったとして、責任は免れないのです。

天災にもかかわらず、このような事故の責任は、

しかし、通常有すべき安全性(既述のような可能性はなかった)を欠いていなければ、今回のケースの台風の様に予見できない天災で起きた損害ならば責任を負う義務はありません。

ただし、これにも例外があるのですが、過去に同程度の大きさの台風の経験等を有している場合に、再び同程度の台風が来た際に備えて補強等をしなかった場合には、予見できる危険性に対して充分な防止措置を執らなかったとして、賠償義務を負う事があります。(訴訟にまで発展した場合や人工的に植えているような木の場合でそのような判断になる事があります)

まとめますと、風速40メートル程度の「一般的な規模の範囲」の台風であれば、それに耐えうる程度の補強等(通常有すべき安全性)をしておかなくては瑕疵があると判断され、その規模を超えるような台風の場合で、通常有すべき安全性があったにもかかわらず倒れた場合には責任は無いと判断されると考えられます。

以上の様に、土地工作物の所有者の無過失責任は、被害を被った側の保護を重視している為、以上の様に「管理上の問題は全く有りませんでした」と簡単に言い切れる問題でもなく、予見可能性についても具体的な判断が必要になってきます。




公的な費用負担支援などは無いのでしょうか?

各自治体により融資制度等がありますが、詳細については不明ですので、お住まいの地域の自治体にお問い合わせ下さい。

車の所有者が入らねばならない保険から、費用の一部でも保険金としておりることは無いのでしょうか

保険の契約の内容にもよるでしょうが、保険を使うかどうかは車の所有者の判断ですので、仮に保険金が下りるような場合であってもそれを使うよう強制はできません。(尚、車の所有者が保険を使った場合には、その後、保険会社が太田さんに対して求償してくる可能性もあります)

木は昔から立っており、それに隣接して駐車場を設置した隣の方、そこの駐車場を管理していた管理会社さんは全く責任なし、費用負担なし、ということでしょうか?

責任の有る無しで言えばそうなります。隣に越してきた方に責任があるのではというのは損害を与えた側の理屈です。ただし費用負担については、太田さんに責任が無いとされた場合には、車の所有者(保険を使用した場合には保険会社)が負担しなければいけないでしょう。