台風で私の車庫の屋根が飛び、隣家の車に傷が付きました。これは全額賠償の責任があるのでしょうか?




神奈川県の高橋といいます.先日の台風の影響で,自宅の車庫の屋根板(プラスチック製)が強風で飛ばされて,隣家に駐車場に落ちていました.

隣家の言うには,隣家の車のドアなどにキズが付いていて,風で飛ばされた屋根板が車にぶつかってキズがついたと言われました.

確認したところ,ドアの側面にそのようなキズあとがあり,屋根板が隣の駐車場に落ちていた状況から,確かにぶつかったようです.その他にもドアの下の方にキズがあり,このキズも屋根板がぶつかったとキズと言われました.

隣家がディーラーで見積した金額は約16万で,見積書を渡されました.

このような台風の被害に対して,全額支払う責任があるのでしょうか?

車庫の屋根板が飛ばされやすくなっていた訳ではなく,私のほうの過失があったとは考えられません.

そうかといって,全く責任はなく賠償するつもりはないとも思っていません.被害額の何割かは支払うつもりです.

質問1.このような場合,隣家の被害額の何割くらいを負担すればよろしいのでしょうか?

質問2.車のドアのキズは板金やさん等の専門業者は,新しいキズか古いキズか見分けが付くでしょうか?

(質問no.562 12.06/21 お名前:高橋さん 神奈川県)




まずは過失があるかどうかで判断します。

高橋さん、はじめまして。無料法律相談ネット・サイト管理人の北条たかとと申します。

台風の影響で,自宅の車庫の屋根板(プラスチック製)が強風で飛ばされて

このような台風の被害に対して,全額支払う責任があるのでしょうか?

法律上、「土地の工作物(建物本体だけでなく、看板や塀など、不動産に付帯するもの全般を指します)の設置または保存の瑕疵」によって他人に損害を与えた時は、その工作物の占有者※は被害者に損害賠償をしなければならないと定められています。


正確に言うと語弊がありますが、今回のケースでは所有者とイコールで考えて頂いて結構です。

屋根は通常有すべき安全性があったにも関わらず、今回の台風の様に「予期できない規模の自然災害」によって吹き飛んだ場合には、所有者は賠償責任を負う義務は無いと判断されています。

車庫の屋根板が飛ばされやすくなっていた訳ではなく,私のほうの過失があったとは考えられません

ただし、当たり前の様に過失が無いと判断する事はできません。

先述の解説で「予期できない規模の自然災害」と記載したとおり、過去の台風経験等から鑑みて、予想される程度の強風に対して屋根が破損しないように補強を施したりして充分な備えをしなかった場合には、過失があると判断されるでしょう。

今回の台風の様に予期できない規模とは言えない程度のものである場合、過失はあるとして賠償責任を負う事になると考えます。




風で飛ばされた屋根板が車にぶつかってキズがついたと言われました

とは言え、その過失という観点から見れば相手方にも同じ事が言えます。台風による強風によって物が飛んでくる事は過去の経験上分かっていたにも関わらず、車に何の防護策を施さなかった等の事情がある場合は、相手方にも過失があると言えるでしょう。

全く責任はなく賠償するつもりはないとも思っていません.被害額の何割かは支払うつもりです

実務的にも過失割合に応じた賠償をする形になります。具体的には相手方の過失の割合に応じて過失相殺をして損害賠償額を軽減する処理方法を執る事をお勧めします。

このような場合,隣家の被害額の何割くらいを負担すればよろしいのでしょうか?

車がどの様に駐車されていたか、どの程度の防御策が施されていたか等の状況によるとしか言えませんが、例えば、青空駐車で何のカバーも掛けていない様な状況であるならば同程度の過失となると仮定して個別に交渉していく事になると思われます。

車のドアのキズは板金やさん等の専門業者は,新しいキズか古いキズか見分けが付くでしょうか?

これに関しては分かりません。直接、該当のディーラーさんにお尋ね頂くのが良いでしょう。