20年ほど前に図書室で借りた本の返却請求が来ましたが、当方に弁済義務はありますか?

勤務先の大学の図書室から、20年ほど前に借りた図書について2年前に返却請求が届きました。

その間一切返却請求はなく、当方はすっかり忘れておきました。返却すべく自宅書斎などを探しましたが、借用して数年後に転居していることもあって見つけることができぬまま昨年の東日本大震災を経験、書斎は半壊してまだ復旧しておらず、探せる状況ですらありません。

しかし図書室の担当者からは頻繁に請求が届き、返却できなければ弁済もと示唆されています。

しかし、17年の間一度も返却請求をしなかった担当者(17年前と同一人物が現在なおその任にあります)に非はないのでしょうか?

返却請求当初にやはり法曹に在職する友人から耳にしたところでは、返却請求をしないまま5年を経れば法的に弁済義務は喪失するそうですが、仮に法的に当方に弁済義務がないにしても職場環境的に報復的パワハラの可能性も否定できません。

見つからなかった時の当方の法的義務について(弁済しないといけないのか?など)を主にご教示いただければ幸いです。

(質問no.549 12.06/13 お名前:田村さん 神奈川県)



あなたに非があります。

田村さん、はじめまして。無料法律相談ネット・サイト管理人の北条たかとです。

17年の間一度も返却請求をしなかった担当者(17年前と同一人物が現在なおその任にあります)に非はないのでしょうか?

そもそも借りた側が返す義務を負っており、その観点からきちんと管理しなければいけない訳ですから、返せない算段になって貸した側の責任にする事はできません。

法曹に在職する友人から耳にしたところでは、返却請求をしないまま5年を経れば法的に弁済義務は喪失

大変恐縮ですが間違っています。

恐らくその法曹の友人の方はお金の貸し借りの事だと勘違いされたのではないでしょうか?(貸金業からお金を借りた場合は確かに5年で時効期間が満了します)

仮に法的に当方に弁済義務がないにしても

返却義務はあります。今回の場合、田村さんが借りた本は図書館側に所有権があり、図書館側は所有権に基づく返還請求をしています。

時効の中には時効取得といって、時効期間が満了する事でその物を自分の物であると主張する事ができるようになる制度がありますが、その為には「20年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有する」といった要件を満たす必要があります。

ポイントとしては「所有の意思」です。

今回の場合、そもそも図書室から本を借りる行為は、相手に所有権がある事を前提とした使用貸借契約ですから、何十年占有の状態で経過※しようがそもそも所有の意思をもって為されたとは言えず、未だ本の所有権は図書室側になる状態です。


他人の所有権を前提にした契約(賃貸借や使用貸借)に基づいて占有を開始した場合の占有は「所有の意思をもって」なされたとは判断されないのです。

職場環境的に報復的パワハラの可能性も否定できません。

返還請求をしているだけですから、パワハラにはなりません。

見つからなかった時の当方の法的義務について(弁済しないといけないのか?など)

自身が借りた物について取得時効が成立する事はなく、現在の段階でも本の所有権は図書室側にあるので、返還の義務はあると考えます。

借りた物自体を紛失してしまった場合は、同じものをご自身で用意するか弁済という形になるでしょう。