離婚原因が痴漢だと、私の友人や元夫の親戚に手紙で離婚理由を知らせれば、名誉毀損になるでしょうか?




以前、「主人が女性への痴漢行為で2度目の逮捕となりました」と相談させて頂いたものです。

主人は無職になり今は実家に戻っています。離婚そのものには主人も同意したため、協議離婚は成立しそうです。慰謝料請求も考えましたが無職の主人が払ってくれるはずもなく諦めました。

ただどうしても主人側から「離婚理由を他人にしゃべるな!」「名誉棄損だ!」と言って来ます。

なのに主人側は離婚理由を伏せたまま「離婚したのは嫁のせいだ」などと親戚や近所に言っているようです。

あまりの悔しさに私は自分の友人や知人、そして主人の親戚などに手紙で離婚理由を知らせたいと思っているのですが、これは主人側が言うように名誉棄損になるのでしょうか?

(質問no.266 お名前:浜田さん 埼玉県)




名誉毀損に該当する可能性は高いでしょう。

浜田さん、はじめまして。サイト管理人の北条たかとです。

「離婚理由を他人にしゃべるな!」「名誉棄損だ!」と言って来ます。

名誉毀損とは、おおまかに説明すれば「公然とある人物に関する事実を摘示し、その人の社会的評価を下げる事」で成立します。

そして、その「事実」に関しては真実であるかどうかを問いません。つまり、本当のことだから話しても大丈夫、とはなりません。

手紙で離婚理由を知らせたいと思っているのですが、これは主人側が言うように名誉棄損になるのでしょうか?

又、手紙で知らせる事が公然と事実を摘示する事に該当するかどうかですが、類似の裁判例では以下の様に判断されています。

「公然」とは、不特定または多数の者が認識しうる状態で足りるとし、実際に認識したかどうかを要しない。加えて、特定かつ少数に対する摘示であっても、それらの者がその内容を話して伝播していく可能性が予見でき、伝播される事を期待して該当行為を行えば名誉毀損罪は成立する。

これらの事から判断するに、手紙で本当の離婚原因が痴漢による逮捕であると特定の人間に知らせる事は、名誉毀損に該当する可能性は高いでしょう。

尚、名誉毀損罪は親告罪と言って、相手方からの被害申告(具体的に言えば告訴手続き)が無ければそもそも問題にはなりませんので、仮に手紙で知らせても、相手が何も言ってこなければ、それはそれで特に問題はありません。