現在の就業規則に出向規定がない場合、今後、出向の可能性があれば規定を追加しておくべきですか?




現在、就業規則等には出向規定を設けていません。

今後、出向の可能性がある場合、就業規則にも追加をし、又、出向契約書も結ばなければならないのですか?

この出向規定を設けた場合、監督署には届出が必要でしょうか?社内規定だけでは有効ではないのでしょうか?

よろしくお願い致します。

(質問no.371 12.02/26 お名前:佐藤さん 大分県)




可能な限り詳細な規定を追加しておくべきです。

佐藤さん、はじめまして。無料法律相談ネット・サイト管理人の北条と申します。

就業規則等には出向規定を設けていません。

今後、出向の可能性がある場合、就業規則にも追加をし

追加をしておくべきです。

会社側の出向命令権、労働者側の出向義務、それぞれについて就業規則上で明確に規定する必要があるでしょう。

特に出向に関して否定的反応をする労働者の存在が容易に想定できますので、例えば、「会社は、業務上の必要がある場合に出向を命ずる事ができる。従業員は正当な理由なくこれを拒む事ができない」といった旨の規定が必要なのです。

出向契約書も結ばなければならないのですか?

それぞれの出向によって、労働条件、出向に係る諸経費、契約期間(出向期間)等も異なるでしょうから、出向契約書も個別に必要になります。

社内規定だけでは有効ではないのでしょうか?

社内規定=就業規則であると考えますが・・・。例えば、就業規則に出向の規定が無い状態で労働者に出向を命じた場合、出向命令の根拠がなく、出向が認められない事がありますので、注意しなければなりません。

この出向規定を設けた場合、監督署には届出が必要でしょうか?

労働基準監督署への届出も必要です。

尚、就業規則上に出向に関する規定を載せる為、就業規則を変更する際、労働者側に対しての不利益変更と見なされる可能性が高いです。

原則的に、労働者の不利益になる内容で就業規則を変更する事はできませんので、出向規定を含め、規則を不利益に変更する事について、合理性が必要になります。

ですので、就業規則に出向規定を設ける場合

  • 出向に関する規程の内容が合理的である
  • 出向に関して規定する必要性がある
  • 従業員(労働組合)と協議がされ、合意を得ている
  • 出向に際する労働条件の内容が明記されている

等に気をつけないと無効とされてしまう事がありますので、変更に際しては注意が必要です。

とは言え、過去の判例で「規程が合理的なものである以上、個々の労働者の同意がない事を理由に適用を拒否するのは許されない」とありますので、新たに設ける規定が合理的範囲のものであれば必要上の心配は要りません。

実務的な理想は従業員全員からの同意を得る事ですが、会社の規模などによって難しい場合もあるでしょうから、この点は合理性とのバランスの問題となります。

実務上の手続方法等は、状況に応じて社会保険労務士さんや弁護士さんに相談したり、作成や手続きの依頼をする事をお勧め致します。