結婚する際にてんかんである事を隠していた夫に対し、離婚と慰謝料を請求する事はできますか?




夫の病気を理由に離婚できますか?

夫は、結婚前に『てんかん』になり、坑てんかん薬を服用していましたが、私はそのことを知りませんでした。

結婚直後に、薬をいつも飲んでいるので聞いてみたところ、大学時代に、気を失って救急車で運ばれたことがあり、原因は多分脳波に軽い乱れが出たんだろうと言われた。念の為薬は続けて飲んでいる、倒れたのは一回だけだから、薬は必要無いかもしれないけど、念の為飲んでいる』と聞きました。

私は、てんかんという病気も知りませんでしたし、一回気を失っただけど聞き、貧血程度と思っていたのです。夫の両親も、そのことを私や私の実家の両親にはふせていました。

結婚後数年経過した時に、夫が痙攣発作と失禁し、その際に初めて『自分はてんかん疑いである』と告白されました。子供もおりますし、不安で義母に聞くと、『てんかんではない』と言われました。

その後、再度夫が痙攣発作を起こし、病院へついていくと、医師からはっきり『てんかん』と告げられました。

そして、二人の子供のうち、一人が2年前から、遺伝性のてんかんを発病しました。

義母は『ごめんね、てんかんが遺伝しないか、結婚したときに心配で調べたら、遺伝はしないって書いてあったから、安心してたのに』と言われ、騙されていたと感じました。

子供に遺伝したときから、夫や夫の両親を許せず、夫への愛情も持てません。

子供がこの先、発作の不安とともに私が死んだあとも暮らしていくことを思うと、夫と夫の両親が病気を隠して結婚したことが心の底から許せない。

いつ、発作を起こすかわからないので、夜間や、休日などもゆっくりできず、疲れきっています。子供と夫を二人きりにすることも怖いので働くこともできないし、子供たちにもいろんな我慢をさせています。

夫婦生活においても、夫の求めはありますが、とても応える気持ちにはなれません。私が断ると、夫は不機嫌になり、家の空気も重くなり堪え難い状態です。

私にしてみると、夫の発作は見た目も衝撃的で、恐ろしくとても性交渉できません。日々、寝不足になりながら、夫の発作が起こらないか注意をはらう生活もとても疲れました。

夫や夫の両親が病気を隠し、結婚にいたったことを理由に、離婚と慰謝料の請求をしたいのです。可能でしょうか。

(質問no.496 12.05/15 お名前:近藤さん 岩手県)




過去の事例としてはありますが、直ちには難しいでしょう。

近藤さん、はじめまして。無料法律相談ネット・サイト管理人の北条たかとと申します。

医師からはっきり『てんかん』と告げられました。

義母に聞くと、『てんかんではない』と言われました。

夫や夫の両親が病気を隠し、結婚にいたったことを理由に、離婚

当事者が合意して離婚に至った場合を除いて、離婚を請求できる理由というのは法律で定めがあります。

不貞行為(不倫)があった場合
配偶者から、悪意の遺棄を受けた場合
配偶者の生死が、3年以上明らかでない場合
配偶者が、強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合
その他、婚姻を継続しがたい重大な事由がある場合

今回のケースだと、「強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合」に該当しそうな気がしますね。そして実際、てんかんを理由とした離婚を認めた裁判例もあるにはあります。

ただし、過去の事例でも、7年間症状に悩まされ、その後4年間入院をした事によって「回復の見込みがない」と判断される位ですので、今回のケースでは、てんかんである事を理由としても直ちに離婚が認められる※可能性は低いと言わざるを得ません。(現況では強度の精神病とまでは判断されません)


認められる、というのは裁判所が離婚を認めるか否かという事です。離婚したいと相手方に請求する事は自由ですし、それにより相手方の同意が得られれば問題ありませんが、同意に至らない場合は、調停や裁判の場で離婚を争う事になります。

夫と夫の両親が病気を隠して結婚したことが心の底から許せない。

とても応える気持ちにはなれません。

病気を隠し、結婚にいたったことを理由に、離婚と慰謝料の請求をしたいのです。可能でしょうか。

これらの事を総合して判断するに、てんかんである事や、それを隠していた事を直接的な離婚理由とするのではなく、それらの事を含めて「婚姻を継続しがたい重大な事由」があるとして離婚請求をされるのが良いと考えます。

要は、てんかんを含む様々な事が要因となり、婚姻生活が破綻している事を主張していく訳です。

慰謝料に関しては請求する事はできますが、調停や裁判の場でそれが認められる可能性は低いでしょう。

尚、離婚の手続きはまず当事者間で協議をしなければいけません。それにより合意が得られればいいですが、合意に至らなかった場合は離婚調停となり、それでも話し合いがまとまらない場合は離婚訴訟となり、裁判所が離婚請求を認めるかどうかを判断する事になります。