遺産相続となった場合、成人後に援助=贈与された金額を特別受益として差し引く事はできるのでしょうか?
私は父親と子供の頃から性格的に合わず、長男ではありますが非常に疎遠な状態となっています。父親も他の兄弟に比べて私自身に対する態度は非常に冷たいものでした。
その父が最近、年老いたこともあり相続についての問題が近年中に発生する可能性もあるため、ご相談させていただきます。それは特別受益に関する問題です。現在の状況は、
(1)私本人:結婚当初より府営住宅に住んでいましたが、2年前より父親名義の一戸建て(築30年)に自身の妻・娘2人の計4人で暮らしており、父母は自身の故郷に家を新築し2人で生活をしています。固定資産税は私が父より請求書を受け取り、私自身の収入より納税しています。
(2)弟:結婚当初より19年間、父が弟の結婚のために購入した新築マンションに居住しており、父名義のため私と同様、固定資産税を自身の収入より納税しています。
(3)姉:結婚後、新築一戸建てを購入する際に、父より800万円を資金援助されています。
(4)結婚式の費用ですが、弟はその全額=約300万円を父親が支払っています。姉も同様にその全額=約3000万円(離婚の後に再婚した為2回分、持参金・嫁入り道具代金も含む)を父親が支出しています。私はと言えば、妻とは恋愛結婚で結納も自分たちだけで支出し、結婚式当日に100万円を祝い金として受け取った以外は全く資金援助を20年後の今に至るまで受けていません。
以上の状況なのですが、遺産相続となった場合に、上記の「成人後(社会人となった後)」にそれぞれ援助=贈与された金額を特別受益として差し引くことはできるのでしょか。
また私も弟もそれぞれ父名義の住宅に居住していますが、その年数には大きく違いがあります。
不動産自体の贈与は無いにしても、家賃援助として考えた場合、その居住した年数、また築年数での家賃金額の変化も合わせると、3LDKの新築マンションに結婚当初から19年に渡って居住している弟と、築30年の状態から2年間居住している私とでは、算定金額に大きな開きがあると考えているのですが、これらも特別受益として弟・姉が主張する「平等な分配」の先渡しとして差し引くことができるのでしょうか。
(質問no.147 お名前:きたでさん 大阪府 遺言・相続カテゴリ)
当サイトからの回答
頂いた内容はほぼ特別受益に含まれ、その分の差し引きはできます。
きたでさん、はじめまして。サイト管理人の北条たかとです。
>父が弟の結婚のために購入した新築マンション
不動産等の生前贈与は特別受益に該当します。
>父より800万円を資金援助されています。
その方の生活状況等を考えて、通常のお小遣いや何かの礼金と考えられる以上の学の金銭等資本の贈与も特別受益に該当します。
>結婚式の費用ですが、弟はその全額=約300万円を父親が支払っています
一般的な範囲内での挙式費用は特別受益には該当しないとされています。ですので、この300万円は特別受益には含まれないでしょう。
>結婚式当日に100万円を祝い金として受け取った
ですので、この祝い金に関しても特別受益には含まれないでしょう。
>姉も同様にその全額=約3000万円(離婚の後に再婚した為2回分、持参金・嫁入り道具代金も含む)
ただし、婚姻費用の中でも持参金や支度金など婚姻の為にかかる特別な費用は特別受益に該当するとされています。ですから、3000万円の中の持参金、嫁入り道具分は特別受益に該当します。
>私も弟もそれぞれ父名義の住宅に居住していますが、その年数には大きく違いがあります
>算定金額に大きな開きがあると考えているのですが
不動産の価格、価値が違う以上、厳密に言えば受益額も異なってくる事になります。正直、特別受益に関してそこまで細かく算定する必要は無いと考えますが、どうしても気になる場合は、不動産鑑定士や税理士に相談して、価格を出してもらうのが良いでしょう。(因みに、相続開始時の時価で評価します)
>特別受益として弟・姉が主張する「平等な分配」の先渡しとして差し引くことができるのでしょうか
差し引く事ができます。
ただし、相続時の遺産分割協議はまず相続人同士の話し合いがベースにありますので、特別受益分もあまり細かな額面をお互いに主張してしまうと、遺産分割協議がまとまらなくなってしまう可能性がありますので、その辺りは柔軟に対応していく必要があるでしょう。
回答者 : サイト管理人 北条たかと この回答者の詳細はこちらをクリック